2018年12月31日月曜日

この1年


2018年は 公私とも あまり良い年ではありませんでした。
それでも少し ヒカリ の見えた年でもありました。

印象に残ったライブ は 年末の 宇多田ヒカル Tour2018
( ヒカリ と ヒカル の ひっかけね。)
ツアータイトル が 『Laugher in the Dark
絶望の中の笑い、ユーモア、希望この言葉にも惹かれました。
125日:さいたまスーパーアリーナ
シンプルなステージ。意表を突くビデオ。繊細な人柄が表れたMC 
セットリストに『Beautiful World』がなかったのだけ残念かな。

チケット が また 最先端。
デバイスからアカウント内を表示させ、かつ顔認証で本人確認。
絶対転売できません。ただ手元に紙チケットが残らない違和感。
ペーパーレス化、キャッシュレス化へ進む近未来を思わせます。

来年は
たくさん仕事して たくさん遊ぼう。



2018年12月30日日曜日

この30年



『平成』という時代が始まる前年、1988年。
西欧の建築を、時間をかけて見てまわりたい。そんな我儘を聞いてもらい
私はBさんの事務所・B建築設計を辞めさせてもらった。26歳の時でした。

Bさんとの出会いは その2年ほど前。
大手建設会社の現場監督の仕事に嫌気がさし、私は転職先の設計事務所を
探していました。そんな矢先、地元では有名なBさんに声をかけられます。
大酒飲みで女にだらしなく、胡散臭い人物との付き合いもうかがえます。
仕事といえば、建売業者の下請や建築確認の代願まで、拘りなくなんでも。
二の足を踏みましたが、飛び込んでみることにしました。大正解でした。

ネットもPCもCADもない時代。作図作業はもっぱら製図台とドラフター。
フォルダー一本で描くBさんの図面は、まるで水墨画のような濃淡が付き繊細、
大胆な構図は説得力に満ちている。Bさんは技術者としては、正に一級でした。
叩き込まれました。ただ、技術が自らの血肉になっていく実感は楽しかった。
私は一級建築士の資格を取得できました。


時代は『平成』へ
私も独立し、インターネットのおかげで、多くの仲間や仕事を得てきました。
ただ、『昭和』の匂いのするBさんのような建築屋はもういません。
(ちなみに Bさんのカラオケのオハコは 千昌夫の『味噌汁の歌』)


先日
建主の方から、とある名前を聞きました。その方から住設器具を入れたいと。
B建築設計時代の協力業者さん、Bさんの仲間のおひとりです。
その仕事、なんと電気設計をお願いする予定の業者さんもB建築設計時代の
仲間だったとわかり、思わず打合せでは当時の苦労話しに花が咲きました。

時代はかわれど
人との繋がりの大切さ、感謝の気持ちを忘れないでいたい。
空の上へ。 ありがとうございました。生きています。


2018年9月1日土曜日

池袋大仏



池袋大仏 手を合わせます。

打合せの帰り道、池袋駅のほど近かく。
建て替えられた 先行寺 の内部におられました。
池袋の新名所、ということで 建物外には行列が‥
と思いきや、それは隣のミニシアターへの入場者。

大仏さまの御前は じつにおごそかな雰囲気です。
都市の喧騒からひととき 離れられた瞬間でした。

ところで 昨日のNHKの 「チコちゃん」 では
大仏さまの 眉間 にある丸いモノが出題されてましたね。
この大仏さまの眉間にも 確かに!
私も ボ~ッと 生きて いませんので。



2018年8月7日火曜日

田中一村 作品と生涯


田中一村 という画家の名前を初めて聞いたのは 昨年の秋。
母校(中学高校)の同窓会大会でのOB・N氏の講演にてです。
N氏はTVでお馴染みの著名人。
レギュラー番組の裏話を期待されたところ さらに大先輩の
画家・田中一村の生涯のお話をされたのでした。

母校卒業後、東京芸大に進学も事情ですぐに退学したこと‥
生前は画壇から評価されず、一度も展覧会を開けなかったこと‥
晩年、奄美大島に移住し、貧困の中、独身の生涯を終えたこと‥
N氏の巧みな話術から、逆にネガティブな印象を持っていました。

田中一村 の作品に触れたのは 先週末のNHK「日曜美術館」
ビビットな色彩。大胆な構図と繊細な描写。 虜になりました。

作品から受ける印象とは、こうも違うものなのか。
きっと 充実した生涯を全うされたことでしょう。

一度 奄美にある「田中一村記念美術館」を訪れてみたい。

2018年8月2日木曜日

住宅性能評価と木造住宅


当方が設計監理する木造住宅の工事が、現在進行しております。
この住宅は、住宅性能評価の項目・構造性能で 等級3 を目指しています。

住宅性能評価 とは
住宅に求められる性能‥例えば、構造性能、空気環境、音環境や防犯対策など
10項目があげられ、それぞれの項目で 
等級1(建築確認が取れている)から、上位性能‥ 等級2、等級3 というように
性能を評価し、それを表示しようという制度です。

例えば学校で、選択できる受講科目が10科目あり、その科目ごと単位(評価)
を取得するようなイメージでしょう。

この計画では、構造性能 のみを選択しようとしたところだったのですが
構造性能に加え、劣化対策・維持管理・温熱環境 の4科目は必須とのこと。
これもまた、学校の科目のようですね。
(劣化対策・維持管理・温熱環境は それぞれ等級1で、と申告しました。)

新築の場合、住宅性能評価は
設計段階の設計住宅性能評価 と 
工事段階の建設住宅性能評価 の 段階に分かれます。
今日はその建設住宅性能評価 の3回目・仕上げ直前の検査ということで、
酷暑の昼間 検査に来られた民間検査機関の方には、ご苦労様であります‥
と(心の中で)申し上げた次第です。 検査は、無事終了。あとは竣工時。

2018年7月28日土曜日

家族の肖像・『未来のミライ』と『万引き家族』


『家族』をテーマにした 話題の2本の映画。
描かれた家族像が対極にあることに気がつき、面白いです。

「何があっても 遠くだけを見る‥」
福山雅治のカッコいい台詞と、細田守監督作品ということにひかれ
『未来のミライ』 昨日鑑賞してきました。
4歳の男の子・くんちゃんと そのおとうさんとおかあさん一家に
ミライちゃんという女の子が生まれたとこから 話ははじまります。

くんちゃんが時空を超え、過去や未来の家族と触れ合うという物語。
ここは予告編のお約束通り。
映像表現や音楽も素晴らしい。なのに、いまいち感情移入できない。
‥何故なんだろう。

おとうさんとおかあさんは、横浜の閑静な住宅地に住んでいます。
いわゆる中流より、ちょっと上の夫婦のように思えます。
子育てに奮闘するおとうさんは、おそらく監督ご自身の姿なのでしょう。
ただリアルなのはそこだけ。カネの話も男女の生々しいやりとりもなし。
まさに アニメならぬ絵に描いたよなホームドラマの世界感。
そして時空を超えて出てくる家族は みんな血の繋がりを持つ血縁者。
家族が、いはば『縦の関係』のみで描かれていることに気がつきます。


カンヌ映画祭でパルムドールを受賞した『万引き家族』
是枝裕和監督が描いた家族も、お父さん お母さん 兄 妹 の四人。
しかし 彼らには 血の繋がりはありません。 いはば『横の関係』
貧困や犯罪といった不条理な現実に喘ぎながら懸命に生きる、こちらの
家族のほうに 私はより強いメッセージを感じます。

家族の有り様は すでに多様化しているはずだ、ということでしょうか。

ところで
『未来のミライ』
くんちゃん・ミライちゃんのお父さんは建築家。 私と同業者です。

Mac Book でVectorWorksを操り、3Dのレンダリングまでしちゃう。
バウハウスやザハ・ハディッド、清家清の作品集が本棚に並んでいる。
設計した自邸は、実在するか、少なくとも実際に実施設計されている。
建築家の実務がリアルに描かれているようでいて、私はここにも違和感
を 覚えます。

クライアントとの打合せ、役所との折衝、現場でのやりとり‥。
実際の建築家の仕事の多くは、他者とのやり取り、いはば『横の関係』
の部分で成り立っています。
仕事を家庭でしているというのであれば、家庭以外の部分が描かれて
いないことも、逆に家族のリアル感を薄めているように思えるのです。

『万引き家族』では同居するアキ(松岡茉優)が風俗店で働いています。
この風俗店内の非・日常的な雰囲気が、日頃この一家が暮らしている
汚ったない家の中と対比しています。 ハレ と ケ の関係です。

家庭以外での存在をはっきり持っていてこそ
家庭の中で 家族 を意識できるのもなのではないのでしょうか。

いろいろ いっちゃいましたが
『未来のミライ』と『万引き家族』 
どちらも劇場で観るべき作品でしょう。 おすすめ。



2018年5月9日水曜日

工場再生 つづき。



2月に報告いたしました 工場のリニューアル工事のその後です。
確認検査機関による『遵法性調査』が完了。工事が本格化しています。


本来 新築された建築物は建築確認のとおりに完成されているかどうか、
完成時に完了検査を受け検査済証の交付を受けていなくてはなりません。

現実的には 数十年も前に建てられた建築物の中には
この検査済証のない(完了検査を受けていない)建築物も多くあります。

勿論、建築確認の通りに完成し、各種法令にも叶った建築物であっても、
例えば、建物登記にしろ、金融機関から建設資金の融資を受けるにしろ、
検査済証の必要性は薄かったから という当時の背景もありました。

ただ、こういった建築物の増改築をするとなるとなると問題が起きます。
基本的に、新築時の検査済証は必須となります。
それじゃあ増改築は諦め、やむなく解体して新築するか‥というのでは
古い建築物は出来るだけ活用しよう、という時代の潮流に反します。
そこで救済措置として登場したのが、既存建物の調査ということです。
『建築基準法適合状況調査』(ガイドライン調査)や『遵法性調査』です。

昭和40年代に完成したこの工場にも 検査済証 はありませんでした。

ただ、この工場のリニューアル工事の場合は、
増改築の確認申請は必要ありません(大規模修繕模様替)でしたので
『遵法性調査』の方を、確認検査機関にお願いしたところであります。

はたして現地調査に来られた検査員は お二人。
新築当時の建築確認概要書と私が作成した現状図面を元に、実測調査。
屋上に残ったガラス張温室や 後から設置された固定式オーニングまで
床面積の対象となるので 撤去 と指導されるとは 意外と厳しい‥。
それでも 是正報告の後には 立派な報告書をいただけました。

古くなっても再生して活かせる建築物は、もっと増やせるのではないか。
と 私は考えています。



2018年5月8日火曜日

リハビリ・北斎・黄金週間


3月の末。私の不注意から 左手人差指の先を骨折してしまいました。
激痛は数日で治ったものの、添木を当てグルグル巻きにされた包帯は、
なかなか外せず、運動不足もあいなってブルーな気分で過ごした先月。

このGWは もっぱら 心と体のリハビリテーションにとあてました。
読書 は1冊
『不死身の特攻兵』鴻上尚史
  9回の出撃から生還した特攻隊パイロットの実話。当時の歪んだ官僚
  主義が、現代の日本の社会の在りようにも重なるようだ。乞う映画化。

映画 は2本
『パシフィック・リム:アップライジング』
  前作のような深みはない(‥予想通り。)CG満載のアクション。
  最近のハリウッドのSF映画、中国人の主要人物がよく登場する。
  映画製作の世界も国際情勢下ということか。
『ペンタゴン・ペーパーズ』
  私が中学生の時に観た洋画『大統領の陰謀』へと繋がるストーリー。
  これも、たしかワシントン・ポスト誌の記者の活躍だったような‥。

あとは
旧友とビアガーデンで一献。晴れた日のBBQ。
指のあんばいが だいぶ良くなったなと思い、サイクリングの再開。

そして、以前から気になっていた美術館へ‥ 『すみだ北斎美術館
妹島和世氏による設計の、銀色に光る前衛的な造形。
ただゾーニングと動線を考慮した、考え抜かれた造形だ(と思う。)
渾身のディテールが詰まっていつつも、こじんまりした規模で納まるのは
なるほど 葛飾北斎個々の作品が小品であるからか。

『冨嶽三十六景神奈川沖浪裏』 迫力より緻密さと構図の妙に改めて感動。
企画展示は他『諸国瀧廻り』のシリーズなど 水の表現は圧巻。
常設展示はタッチパネルを駆使し、子供達にも親しみやすそうだ。

北斎の母方の血縁に、討ち入りで果てた吉良上野介の家臣がいたそうな。
GoogleMapを見るに、吉良邸跡地はすぐそこだ。帰りがけに寄ってみる。
母校やかつての事務所からほど近い 泉岳寺 には何度も足を運んできた。
ここはやはり、対戦相手にもリスペクトの念を持つべきであろう。合掌。


GWが明け。お医者さんの許可を得て、指先の包帯と添木をはずしてみる。
怪我とは関係なかった第一関節・第二関節が 硬く曲げずらくなっている。
なるほど、人間、体は絶えず動かしていないといけない、ということか。

このBLOGも、しばらくUPしないでいると、急に筆が重たくなるようです。
頭の中にも 何か鈍ってしまうものがあるのでしょうか。
これからは たえずアクティブにいるよう 心掛けたい。






2018年2月13日火曜日

賃貸集合住宅計画 と『アルマーニの制服』問題

このところ どこも賃貸集合住宅(マンション)の新築ラッシュです。
羽田空港に近いこともがあってか、ここ糀谷地区でも とにかく凄い。
その集合住宅を造る側の私ですら、疑問に思えています。

駅前商店街にあった古い店舗が、新築マンションに建替えられました。
手掛けたのは、不動産会社ではないものの、誰もが知る大企業です。
入居者募集に掲げられら「間取り」を見ると、じつにオーソドックス。
片廊下式の羊羹切りタイプで10坪ほど。ただし、お家賃は少し高め。
新年度の新築物件でありながら、入居者はまだいなそうです。

こういった標準間取りのマンション。この地域だけでも沢山あります。
その中、この大企業マンションはどのような差別化を図っているかと
考えてみますと、ひとつは 仕上の高級感 のようです。
外装は裏側まで全てタイル貼り。エントランスの床はどうやら御影石。
ドアの向こう側の風除室も、大理石や御影石で覆われているようです。
まるで銀座の宝石店のようです。

銀座‥というとで、昨今 アルマーニの制服(標準服)導入で物議の
ある公立小学校のことを思い出しました。
人は、身に付けているもので 評価が決まるものではありません。
人を育てる上で大切なもののひとつは、それぞれの個性でしょう。

このマンションより駅から遠く離れた 当方の SILVER WAVE-2
部屋の広さもお家賃もそれ程ではありません。仕上げもRCの打放し。
アルマーニ というより ユニクロ仕様と言えるでしょう。
それでも新築以来ほぼ20年間、ほとんど空室はありません。
この春も一部屋、お笑い芸人さんに代わって新社会人の方が入居予定。
ありがたいことです。

求められているのは、ブランドや高級感ではありません。

2018年2月7日水曜日

工場再生

金型部品を製作する工場の新設計画、以前からご相談を受けていました。
新規に土地を取得した新工場の建設ではなく、事情で廃業した工場を購入。
それをリニューアルして新工場とすることになりました。

当方の地元は、京浜工業地帯。いわゆる町工場の密集する地域です。
なにゆう私自身も出身は、そんなある町工場の跡取りでありました。
時代の潮流から取り残される製造業もあれば、時代のニーズに応え続ける
工場もあるのです。このお仕事も、何かのご縁でしょうか。

リニューアルとはいえ、1000m2からなるプロジェクトです。
まずは、検査機関による既存建物の遵法調査 からはじまります。

10年目の住宅改修。建築も成長していく。


2007年に完成した複合住宅 Pixies
竣工10年目を機におこなわれた。
RCの外壁補修と屋上手摺・外部階段の設置工事。
私も微力ながら お手伝いさせていただきました。

手摺は溶融亜鉛メッキ(ドブ漬け)された鋼材加工。
腰部分は FRPグレーティング(ある業者の置土産)
汚れもあって、少し荒々しい表情です。

施工は 鎌建工業さん
当方の地元 大田区東糀谷の業者さん。腕前は折紙付。
納まり部分は、全くお任せできました。
素材の荒々しさとディテールの繊細さが共存しています。

建て主のみなさん
完成からご家族も増えて、生活を楽しんでいるご様子は
嬉しく ありがたい事です。


2018年1月11日木曜日

届くことの奇跡

お客さまとのmailのやり取り。
うっかり事務所のドメインからでなく 個人のgmailで返事してしまい
そのお返事はgmailのメールボックスに入ってしまっていたのでした‥。
危うく 見落とすところ。 気がついて よかった。

私の「岩間」という姓は、それほど一般的とは思えないのですが
事務所の住所の ホンの一字違いの住所に 偶然「岩間」さんという
方が住んでおられるようで、よく誤配送の手紙が届きます。
誤配送の年賀状 は 拙いながらも 一生懸命の子供の字。

 ことしも いっぱい あそんでね

再配送 無事届きますように。

2018年1月1日月曜日