2016年2月29日月曜日

省エネ関連基準・制度の覚書

建築に係わる法規制が、大きく変わりつつあります。
2020年という、ひとつの旗印となる目標もあってのことでしょう。
関連セミナー等で、日頃から勉強はしているつもりですが、ついていくだけで大変です。

法規制改正の大きな流れ としては、下記のような事項が主でしょう。
1)主に規制緩和による、木造建築物の さらなる普及。
‥木造耐火建築物での計画など、実務面ではすでに大きな変化があります。
2)中古住宅市場の活性化や、既存建物の増改築に対する規制の見直し。
‥スクラップ&ビルドから脱却した産業構造、空き家対策といった側面もあるのでしょう。 
3)省エネルギー の政策。
‥『建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律』(建築物省エネ法)

この4月から誘導的措置が施行となる、新しい省エネの法律(建築物省エネ法)に関して
私自身の頭の中の整理にと、実務で現実的に関連する部分を書き留めておこうと思います。
大学の講義でノートを取るような心境です。詳しい方で、何か間違いにお気付きでしたら
遠慮なく、ご指摘ください。

『建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律』(建築物省エネ法)は
建築基準法と同じく国土交通省の所管。
これまで通商産業省が所管の『エネルギーの使用の合理化等に関する法律』(省エネ法)
の住宅・建築物に係わる措置の部分を引き継ぐかたちとなっています。
この建築物省エネ法。誘導的措置 と 規制的措置 とに分かれます。

2015年7月8日 公布
2016年4月1日 誘導的措置 施行
この誘導的措置の主なもの は

□性能向上計画認定制度
:誘導基準に適合すること等の条件をクリアすることにより、容積率の特例(最大10%)

□表示制度
:新築時は(法第7条)に基づく第三者認証(BELS)ラベル。星の数で省エネ性能を表示。
 既存建築物は(法第36条)に基づく所管行政庁認定マーク。
(現在の住宅省エネラベルは2017年度に廃止。それまでは、上記新ラベル制度と並走)


2017年4月1日 規制的措置 施行(予定)
この規制的措置で主なもの は

□届出
:一定規模以上の建築物(政令で定める規模:300m2)計画での所管行政庁への届出義務
これは、経験値としてニュアンスがわかります。
昨年 共同住宅(約500m2)を計画をした際に、現・省エネ法に基づく届出をしています。
省エネ計算書など必要書類は確認検査機関で作成してもらいました。ただこの現・省エネ法
での届出は、2017年建築物省エネ法の規制的措置の施行にさいして廃止になるとのこと。

□省エネ基準適合義務。適合性判定。
一定規模以上の非住宅建築物(政令で定める規模:2000m2)の新築等では建築物エネルギー
消費性能基準(省エネ基準)に適合させなければなりません。
この省エネ基準は、建築基準法第6条第1項に規定する『建築基準関係規定』とみなされます。
つまり、この基準をクリアしなければ、確認済証も検査済証も発行されない、ということです。
省エネ基準の適合性判定は、登録建築物エネルギー消費性能判定機関によることになります。
構造の適合性判定(ペア・チェック)では、これを担当する『構造計算適合性判定機関』は
建築確認を担う確認検査機関が兼ねることはできません。
ただ、この『省エネ基準適合判定機関』は確認検査機関が兼ねることができる、とのこと。

現時点で、当方のように中・小規模の住宅・集合住宅の設計・設計監理をおこなう事務所には
まだ大きな影響はないでしょう。ただ、2020年度までには、すべての新築住宅において
『改正省エネ基準』の適合義務化が予定されているとのこと。
今回の法整備は、それに向かう 地ならし となっているように思えます。

これら規制のあり方には、もちろん一過言あるのですが。
実際にモノを造る立場としては、何事もポジティブにとらえるよう心がけています。

2016年2月28日日曜日

オデッセイ|リドリー・スコット|作品賞やいかに

昨晩TVの情報番組を観ていると、直近に迫った米国アカデミー賞の発表に絡めてか
北野たけしさんが、ハリウッドの映画製作事情を解説していて、興味を持ちました。
ハリウッドでは、映画完成までの保険を担う保険会社が現場でハバを利かせていて
多くの場合、映画監督には編集権もないそうです。それじゃあ確かに、映画は純粋に
監督の作品とは言えませんね。
抗議の意味を込めて 監督自身が自ら編集し直した『ディレクターズ・カット版』を
発表することもあるとのこと。

『ディレクターズ・カット版』といえば、なんといっても
リドリー・スコット監督『ブレード・ランナー』でしょう。

近未来を描いたダークな表現は、それ以降の映像作品に大きく影響した秀作でしたが、
公開前は、映画会社側が、暗くて難解な作品でお客が入らないと判断したのでしょう、
主人公のデッカード(ハリソン・フォード)の独り言の風ナレーションで、わざわざ
語らせたり、取ってつけたハッピーエンドの結末があったりと、いささか軽い。
シンプルに編集された『ディレクターズ・カット版』こそ、正に作品といえましょう。

それ以降のリドリー・スコット監督作品は沢山見てきましたが、巨匠と呼ばれるよう
になるにつれ、独特の映像表現‥例えば、青い逆光で、あえてシルエットのみを浮か
びだしたり、NYの街のようにやたらスモーク焚いたり‥と、R・スコットっぽい作風
は影を薄めて、大作を撮るのに手慣れた ‘上手な映画監督さん’ という立ち位置に
落ち着いていったように感じています。少し寂しいですが。

アカデミー賞の作品賞に輝いた『グラディエーター』も、作品賞とほぼセットである
はずの監督賞には選ばれませんでした。
今年は新作『オデッセイ』(原題:Martian)も、作品賞にノミネートされてますが
監督賞にはノミネートすらされていないようです。


『オデッセイ』(原題:Martian)
火星にひとり取り残された科学者の救出劇ですが、個人的には幼い頃リアル・タイム
で体験した、アポロ13号の事故当時の巷の雰囲気を思い出しました。作品も、その
ストーリーから、ほとんど主人公(マット・デイモン)の一人芝居なのかと思いきや、
意外と登場人物が多く、みんな、ちゃんとキャラ立っている。特に宇宙船の女性船長
の判断力と行動力は、『エイリアン』『テルマ&ルイーズ』での女性像を思わせます。
そこはR・スコットさんっぽいところでありましょう。

ただ、展開が いささかオーソドックス。
観ていながら…。ああ、ここはスローダウンするシーンね、ああ、もう直ぐトラブル
が起こるのね‥と おおよそ展開が読めてしまいます。安心してハラハラ・ドキドキ
できてしまう訳ですね。(ちょっと、意地悪な言い方ですか。)

いろいろ批判めいたことを書きましたが、秀作であることは、間違いなし。
諦めない強い意思。 私も大切にしたい。



2016年2月19日金曜日

賃貸部分を持つ都市型住宅の提案

東西両側が接道する24坪ほどの敷地での、都市型住宅の提案でした。
相談者の方との詳細な打ち合わせを前に作成した、叩き台の案です。

3階建・3LDK
防火地域での計画として、木造耐火建築物としての仕様となります。
それでも概算工事金額では 75万円@坪 を切ることができました。

アクセスの利を活かして、賃貸部分を設けます。
(この賃貸部分は、将来的には専用住宅部分に組み込むことも可能)
これにより、住宅ローンは賃料収入のみで償却できるかもしれません。



スティーブ・ジョブズ|

一昨年にもスティーブ・ジョブズ氏の映画は公開されていましたが、見逃していた。
今回の作品は『ソーシャル・ネットワーク』のアーロン・ソーキン脚本とのことで
かなり 大胆な切り口で なかなか面白かった。
そもそも彼の人生は、もうよく知れ渡ってしまってます。私も伝記は読んでます。
例えば(同じ)スティーブ・ウォズニアックやジョン・スカリーといった人物が
ジョブズやアップル社にとって、どんな立ち位置であったかは、わかってるわけで
いまさら『フォレスト・ガンプ』みたいな物語は、もう不要でしょう。

舞台は たった3回 発表会の当日での出来事のみ。
初めて Mac を世に出した発表会。
Apple社を追い出されたのち NEXT社での発表会。
三顧の礼でApple社に復帰し 初代iMacを発表した日。
それも。いずれも、ジョブズ氏お得意のプレゼン・シーンは ほとんどなし!

娘 Lisaさん とのやり取りに 心うたれるところがあります。
そういえば『ソーシャル・ネットワーク』でも、ザッカーバーグ氏の淡い恋心が
せつなさを感じさせる終わり方でしたね。
どんなに世界を変えられても、大金持ちになっても、得られないものがある‥。
ということなのでしょうか。

ところで、今日の朝のTVでトピックスを見ていると。
モーツアルトとサリエリと 共同で作曲された楽曲が見つかったとのことです。
二人は 意外と仲が良かったのではないか、と専門家の方が言ってました。
この映画でも、終盤 ジョブズ氏はスカリー氏と握手を交わしているのですが、
あながち、ありえなく ないのかもしれませんね。


2016年2月13日土曜日

煉瓦の高架下

有楽町の東京フォーラムにて、建築関連のセミナーがはけたのが午後4時。
事務所へ戻るにも中途半端な時間にて、新橋まで歩いてみることにする。
JRの高架は、煉瓦のアーチ構造によるレトロな佇まいが気に入っている。
土地柄の割には安い呑み屋が入居しているのは、高架建設当時から賃料が
上がっていないからだ、と聞いたことがある。
バブル時代には、パンクで隠れ家的なクラブもあったな。

古びた建物への郷愁は、やがてそれが滅びゆくことを本能的に感じるから。
たしかに、そうかもしれないけれど。それまでは、慈しんでいたい。

photoの一部は、始めたばかりの Instagram にもUPしています。
これ、始めちゃうとBLOGが不精になりそうです。