『‥結婚することになりました。』
事務所の近くにお住まいの、知人のCAの女性から丁寧な挨拶をうけました。
祝福です。誠実な人柄の彼女は、きっと幸せな家庭を築くのでありましょう。
国民的女優さんやら、人気の女性キャスターやら、東国原さんやら‥。
巷を賑わすオメデタい話題が、身近にも起きたような微笑ましいエピソード。
そこにケチをつけたくなる、まったくもって心底ヒネクレ者の私であります。
‥結婚することに『なりました。』 は、おかしい。
‥結婚することに『しました。』 と、いわなきゃ‥。
こういった受動的な物言いや思考は、じつはそこかしこにあります。例えば、
‥就職することに『なりました。』 ‥入学することに『なりました。』
といった挨拶に、私たちは全く違和感を感じませんね。
物言いの裏側には
日本人の持つ『謙虚さ』という美徳であるの同時に、共同体への『依存心』
があるのでは、と思えてくるのです。
四方を海で囲まれた島国で、侵略もなく永らく平和に暮らしてきた日本人の
『和をもって尊しとする。』とした知恵であり、共同体意識なのでしょう。
先週。四方を海で囲まれた島国という、日本と同じ地理的状況にある英国にて、
ひとつの地域であるはずのスコットランドが、英国からの独立を可否を決める
住民投票を行いました。
我が国でいえば、(すこし強引な言い方ではありますが)たとえば
‥独立するか否か。東北地方が住民投票で決めることにしました。
といった状況でしょう。日本人には、誰しもピンとこないとこだと思います。
これは、ひとつには
‥英国に併合されることに『なりました。』
となった、数百年前にスコットランドが経験した受動的にして過酷の状況が、
きっと、共同体から受けるような仕打ちとは全く違うものだったのでしょう。
そして、もうひとつには( 住民投票では、惜しくも否決となりましたが。)
‥英国から独立することに『しました。』
と言おうとしたところには、依存的共同体意識とは違う、主体的な自立心や
民主主義が、しっかりと存在しているのだということ。
地理的状況が似ていても、日本と英国との違いでしょう。
日本に住む日本人の社会には
きっと他国にはない、独自の潜在的な強い共同体意識が存在している‥。
ささやかな幸せのエピソードから、大それた認識となってしまいました。