2014年9月11日木曜日

伝承と家相

また全国で大荒れの天気のようです。

先月、強烈な豪雨により甚大な被害を受けた広島市八木地区。
ここは本来『八木蛇落地悪谷』という地名であった、ということを知りました。
土砂災害が起こるよ。という戒めが地名に込められ、伝承されていたのでしょう。
その先人達からの伝承が、活かされていなかったことは明らかで、残念です。

伝承の意義といことで、私は『家相』のことを思い出しました。

我国に伝わる『家相』とは、住宅をつくるさいに頼りにされてきた伝承です。
間取りは “こうしてはいけないよ” という、いはば禁じ手集といえましょう。

たとえば
長方形や正方形などの四角形から、角の部分が『欠ける』平面構成になる間取りは
家族や財産も『欠ける』とされ、家相では忌み嫌われます。
角が欠けた平面構成では、横方向から受ける応力は均等に分散せず、四角形の間取り
よりも構造的に不利なります。
こういった間取りの住宅で、地震や台風の災害時に大きな被害が出てきたのでしょう。

あるいは
裏鬼門(南西)の方向にあたる部分に『火』を設けてはならない。とも聞きます。
『火』のひとつは炊事場、つまり台所です。
台所に置かれた食品(なまもの)が西日に当たり腐ることを避けることを目的です。
これは、冷蔵庫など食品保存の技術が発達した現代では、意味をなさなくなりました。

このように、家相には
根拠を突き詰めれば、統計や理論など客観的な裏付けがあるものが少なくありません。
きっと、家相に限らず、伝承されている事柄の多くに言えることです。
その客観的な裏付けを、現代の目で冷静に見つめ直すことができれば
言い伝えを無下に扱ったり、逆に、いたずらに恐れたりする必要もなくなるはずです。

先人の知恵や経験を活かす。とは、そうゆうことだと考えています。