2010年8月7日土曜日

ポータブル <縁側> スペース

電車の中で、飲んだり食ったりする人 よく見かけるようになりましたね。
新幹線や長距離の電車じゃない、山手線などの ふつうの通勤電車でです。
‥ふと。
マナーの云々はともかくも、都会人の意識が変わったな‥と感じるのです。

日本人の 場や空間、形態の様相を
真(しん)・ 行(ぎょう)・ 草(そう)という三段階で 表します。
カチッと丁寧に書く 『真書体』
くだけてフランクな 『草書体』
その中間に 『行書体』 という 中間 が存在するという考え方ですね。

たとえば 生活空間のあり方で いえば、
庭など外部 パブリックな空間 が 『真の空間』
完全な室内 プライベート空間 が 『草の空間』
その間をつなぐ緩衝帯としての役割の 縁側 が『行の空間』といえます。
もちろん、密集地の都会で、むかしながらの縁側を実現するのは物理的に
大変ですが、生活空間の中には緩衝帯としての『行の空間』はあっていい。
そのひとつが 電車内 となってきたのでは‥ と。

たしかに せいぜい本や新聞を読むくらいであった まさに 『真の空間』
であった 電車内 でも、可能なことが 格段にふえました。
手紙を書く、音楽を聴く、TVやゲーム‥ 携帯端末の進化のご利益ですね。

空いている電車内では よく となりをあけて座ります。
空間ごと持ち運んでいるようにも見えることから、ポータブル・スペース
と 呼ばれる と 聞いたことがあります。
この ポータブル・スペースに 半パブリック/半プライベート な意味
合いが生まれてきた ということに なるのかもしれませんね。